🏙️ 第2回|横浜は“全部”上がっているわけじゃない - フレクマ

🏙️ 第2回|横浜は“全部”上がっているわけじゃない

― みなとみらいと港南台、数字で見るリアルな差

🏙️ 第2回|横浜は“全部”上がっているわけじゃない

― みなとみらいと港南台、数字で見るリアルな差

(連載:不動産のいまを歩く|2025 都市と価格の交差点)
― 再開発と金利が都市を変えるとき


「横浜の不動産、上がってますよね?」

最近、こうした声をよく耳にする。
たしかに、2025年の神奈川県地価上昇率は全国2位。なかでも横浜市内の再開発エリア――みなとみらいや西区、南区の一部では地価が前年比5〜10%近く上昇した。

しかし、この「横浜は全部上がっている」というイメージには大きな落とし穴がある。
市内でもその差は激しく、同じ横浜という名前を持ちながら、“上がっている街”と“横ばい以下の街”がはっきり分かれつつあるのが現実だ。


地価上昇率14.3%の街と、変わらない街

今年3月に発表された地価公示によると、横浜市内で最も地価が上昇したのは「泉区和泉中央北5丁目」、上昇率**+14.3%**(住宅地)。
これは相鉄沿線の再開発「ゆめが丘ソラトス」などが牽引した結果で、今後10年で駅前は大きく姿を変えると言われている。

一方、横浜市内のなかでも港南区・金沢区・栄区などでは、住宅地の地価は前年とほぼ変わらず、0〜+1%程度の横ばいに留まっている。
しかも中古マンション市場では、そうした郊外区において**㎡単価が前年比マイナス**という報告も出ている。

同じ“横浜市”でも、地価の景色はまるで違う。


他のエリアも見てみよう――横浜市内の“揺れる中間層”

「みなとみらい」と「港南台」だけを見ていると、極端な対比に映るかもしれない。
だが横浜は18区からなる政令市。その中には、「急騰でもなく、低迷でもなく」という**“揺れる中間エリア”**も数多く存在する。

ここでは、いくつか代表的なエリアをピックアップし、その傾向を整理してみよう。


◉ 中区(関内・山下町・旧市庁舎エリア)

横浜の「中心地」としての役割を長年担ってきた関内・山下町エリアだが、
ここ数年、再開発ラッシュの波が本格化してきた。

なかでも注目されているのが、旧横浜市庁舎跡地の再開発。
三井不動産を中心とした開発事業者が、オフィス・ホテル・文化施設などを含む大規模複合施設「THE YOKOHAMA FRONT」(仮称)の開業を2027年頃に予定しており、街全体の価値向上が期待されている。

加えて、関内駅前のセルテ(旧マルイ)ビルについても2024年に閉館し、こちらも大規模な再開発計画が進行中。
駅前の景観や利便性は今後一変する可能性が高く、これまで**“古くて使いづらい街”という印象だった関内が、今後数年で都心型再居住エリアとして再評価される可能性**が出てきている。

実際、2025年の中区住宅地地価は**+3.6%と、市内平均を上回る上昇率を記録しており、
中古マンションの成約単価も
わずかながら回復傾向**にある。


◉ 港北区(綱島・日吉・新横浜)

再開発の進む新横浜や東急新横浜線沿線の整備もあり、堅調な価格推移を見せている。
特に子育て世代からの人気が高く、マンション供給も活発。
2025年の住宅地地価は前年比+4.0%前後と安定感がある。


◉ 都筑区(センター南・センター北)

港北ニュータウン地区を中心に、ファミリー需要が強い地域。
ここ数年で大きな上昇はないが、横ばい~微増で推移している。
大型ショッピングセンターや緑地も多く、“住み続けたい街”としての支持は根強い


◉ 磯子区・南区(根岸・弘明寺エリアなど)

山手エリアに近接しつつも、築年数の経過した団地や坂の多い地形などが影響し、上昇率は限定的
地価は+1〜2%程度にとどまり、中古マンション市場では築20年以上の物件がややダブつき始めている


◉ 鶴見区

再開発計画のある鶴見駅東口エリアなど、スポット的には注目が集まる区
京浜東北線や鶴見線など複数路線の利便性に加え、都心アクセスの良さが評価される一方、エリア内でのばらつきも大きい。


◉ 保土ヶ谷区・戸塚区・瀬谷区など

やや内陸部に位置するこれらのエリアでは、地価は横ばいまたは+0.5〜1.5%程度の上昇
ファミリー層の定住志向は根強いが、目立った再開発が少なく、物件の更新時期に来ているストックが多いのが課題となっている。


横浜という“ひとつの街”ではなく、“いくつもの街”が共存している

このように見ていくと、「横浜の不動産価格が上がっている」とひとことで括るのは、もはや無理があることが分かる。

  • 再開発で上昇著しい街(みなとみらい・ゆめが丘・新横浜)
  • 支持は強いが落ち着いた街(港北・都筑・鶴見など)
  • 需要と供給のバランスが崩れつつある街(港南・栄・金沢など)

住宅価格は「市」や「区」ではなく、町丁目単位で動く時代に入っている。
だからこそ、「自分の住んでいる場所がどうか」を冷静に見極めることが、いま求められている判断軸である。


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次回予告

第3回:郊外編―“5年後に売れるか”で見る 郊外のリアル
― 相模原・川口・柏――市場回復は本物か?